事例-10

平成19年1月

精密板金業を営む甲社は、年商4億円の無借金経営の優良会社であるが、代表取締役の高齢化および後継者難から、他社と企業提携し、従業員の雇用確保を志向していた。
乙社は、金属スクラップを溶解し商社へ販売する事業を展開する優良企業でしたが、会社の柱となる新しい事業を模索していた。 平成19年1月に成約した案件をご紹介致します。
今回の案件は優良取引先である甲社が、代表取締役の高齢化を原因として他社と企業提携し、従業員の雇用の確保を志向して実行されました。
甲社は精密板金を業とし、年商4億円の無借金会社であり、既に代表者の御長男が取締役として活躍しておりました。
しかしながら、御長男も甲社を承継する意思がなく、代表取締役とともに引退したいという気持ちでした。
平成18年4月某支店を通じてふれあい相談室に相談があり、M&Aの第一歩が踏み出されました。
当初、代表取締役の希望する売買金額はかなりの大きな金額であったため買収候補企業の探索は困難を極めるものと思われました。
ふれあい相談室では当金庫の取引先で人材派遣業のX社に甲社を紹介しました。X社では甲社は優良企業であるが、X社としてはご希望する金額までは支払えないということで、甲社側の了解は得られませんでした。
精密板金は今でこそ優良取引先が多くなっていますが、典型的な中小企業業種であり、同業者では資金的に厳しさがあり、隣接業種まで探索の輪を広げました。9社がピックアップされ次々と面談がなされていきました。その中の1社が今回の買収企業となった乙社です。乙社は金属スクラップを炉で溶解し、商社へ販売する事業を展開しており優良企業でしたが、会社の柱となる新しい事業を模索しているところでした。そんな中での甲社の紹介ということになり、まさに渡りに船の良いタイミングでありました。また、異業種に思えた精密板金は乙社ではそのノウハウを有する従業員がいたところから、当初の戸惑いはあるものの事業の継続は可能であるという結論になり、成約するに至りました。