事例-12

平成19年9月

後継者難に悩んでいた代表者が従業員に自社株を承継し、従業員に代表者の地位を譲渡しました。過去のM&Aによる事業譲渡が不調に終わったことを契機として、EBO(従業員による自社株買収)で事業譲渡を果たされました。

当金庫をメインバンクとして利用していた運送業者甲は堅実な経営を展開しておりました。代表者A氏は70歳で数年前から後継者問題で悩んでおりました。平成16年、この問題で相談にみえたA氏に当金庫は買収候補企業を紹介しましたが、不調に終わってしまいました。
しかしながら、A氏はこの不調の経験を生かし、従業員B氏に事業を譲る決心をしました。当金庫はB氏に金融機関借入金の連帯保証人にならなければならないことやA氏所有の自社株を買い取るのに相当の資金が個人的に必要となること等を説明いたしました。
当初前向きな姿勢でいたB氏でしたが、以上の点がわかると難色を示されました。そこで当金庫はA氏に退職金を支払うことで株価を引下げ、B氏が株を引き受けやすい環境を作りました。また、金融機関借入金についてはその資金使途のほとんどが設備資金であることを説明し、了承を得ることができました。
この案件は典型的なEBO案件であり、事業承継の典型例と思われます。