事例-14

平成21年3月

平成21年3月に成約した案件についてご紹介いたします。この案件は後継者難に苦しむ企業が当金庫のM&A仲介サービスを利用して、事業承継先を見出した典型例となりました。

 平成20年1月、古くから当金庫をメインバンクとしていた甲社、A社長から、「自分は80歳を過ぎ、事業は順調なものの、後継者問題を考えざるを得ない年齢になった。また、過去においては後継者を育成していた時期もあったが、失敗に終わってしまった。借入金もかなり残っており、どのようにすべきか悩んでいる。どうしたらよいだろうか?」という相談がありました。
 当相談室で調査したところ甲社は経営上の種々の問題を抱えていたものの、一部上場企業X社から直接仕事を得ており、一定の利幅があることが強みとなっていました。
 甲社の業務はX社およびその販売店約130社で使用する買物袋(ビニール加工品)の加工販売でした。
 買収企業乙社は当金庫をメインとする紙器製造業者です。以前からM&Aで事業拡大を図りたいとされておりましたが、なかなか相手が見つからない状況にありました。
 乙社は紙器製造業で、甲社はビニール製品加工業と隣接業種の関係にあり、乙社が甲社をM&Aで子会社にした場合、かなりの相乗効果が得られるものと考えられました。
 乙社に甲社とのM&Aを打診したところ、乙社では、「大変興味深い話で、甲社の強みも理解できるが、また弱点もある。加えて、販売面、仕入面、倉庫事務所等の施設面、実務面も踏まえて検討しなければならず時間が必要である」という見解でした。その後、数十回におよぶ打合せをおこない一つずつ問題をクリアしていき、成約に至りました。
 特に乙社が甲社の借入金の約50%を返済、50%を引継ぐことで成約に至る速度がかなり加速されました。これに伴い甲社のA社長は借入金の連帯保証人から外れることができ、株式の買収資金、退職金も得ることが出来ました。また、乙社は念願であった一部上場企業X社との取引を開始することが出来ました。
 本件を振り返ってみると、甲社は経営上の問題を種々抱えておりましたが、想像以上に倉庫・事務所の整理整頓がなされており、こうした日々の努力が成約に至った要因と感じました。
 当金庫では上記のような後継者問題を抱える企業に積極的に解決策を提示していこうと考えています。