事例-15

平成21年7月

 「社長として責任を果たすため、今まで培った事業と従業員を安心して託せる相手が望ましい。」との希望に、1年10ヶ月を経てお応えすることができました。
 甲社(電子部品表面処理)は創業30年超・年商6億円・従業員20名の優良企業ですが、後継者がいませんでした。A社長(67才)は事業承継に悩み《よこしん》へ相談にお見えになりました。相談当初、A社長は幹部社員への承継を考えていましたが、「譲渡見込金額が高額であり、個人で調達することが難しい点」・「会社保証債務の引継ぎがある点」を考慮し、第三者への譲渡を決意しました。
 「70才迄に事業承継を完了したい。自身の貯蓄は相応にある。譲渡金額の大小よりも、社長として責任を果たすため、今まで培った事業と従業員を安心して託せる相手が望ましい。」とのA社長の希望を受け、平成19年9月より本格的に相手企業を探し始めました。
 その後、相手候補企業数社と協議を経たものの成約に至りませんでしたが、平成21年2月にM&A業務提携先を通じて乙社(千葉県/機械製造業)が紹介されました。乙社は地域優良企業であり、既に後継者として現社長(B氏)の長男が活躍しています。
乙社が甲社を検証したところ、以下の理由により乙社は甲社との企業提携を強く望みました。

  1. 甲社の堅実な事業内容・技術力を評価した点
  2. 甲社使用の機械と同種の機械を乙社が製造しており、両社それぞれの取引先へ機械販売や表面処理業務の受注が可能な点
  3. 甲社の販売先に乙社製品のデモンストレーションとしての相乗効果が期待できる点

 その後、平成21年7月に両社は契約調印となりました。
 本件成約の要因は、両社のM&Aに対する期待と優先度が明確であったこと、および相手方に対する配慮と信頼感があったことが挙げられます。当初の相談から1年10ヶ月が経過しましたが、結果的にA社長の希望に沿った事業承継を実現することができました。