事例-18

平成21年9月

 乙社(ボンベ検査)は社長高齢化・後継者不在により譲渡先を探していましたが、乙社と取引関係のある甲社(高圧ガス販売)が乙社の株式を100%買取り、経営を引き継ぎました。
 乙社には社長の長男が従事しているものの社業を承継する意思は無く、他に後継者候補もおらず社長も高齢化していることから、取引先の甲社へ企業譲渡の打診を行っていました。
 甲社は、乙社の財務内容や自社事業との関連性を考慮し買収を決意しましたが、過去にM&Aの経験は無いため、買収価額の妥当性や買収方法・具体的手順、契約書等法律上必要な書類の整備について不安を持っていました。加えて、乙社には複数の第三者株主がいることで、企業評価額とその支払い方法(役員退職金と株式価額とのバランス、第三者株主に納得してもらえる株価)の決定に苦慮していました。
 相談をお受けした当金庫は、以下についてお手伝いしました。

(1)企業評価書の作成について公認会計士(当金庫のM&A仲介業務提携先)を紹介。

(2)買収方法は、甲社が乙社の内容を熟知していること、乙社の事務レベルに不安があること(事業譲渡の場合は譲渡契約後に乙社自ら会社清算が必要)から株式譲渡を提案。

(3)株式譲渡の手順説明と各書類の作成。
 甲・乙両社で株式譲渡について合意したあと乙社社長が急逝し、急遽、社長の乙社持株の相続手続き(遺産分割協議書作成 他)が発生しました。相続についてお手伝いするというアクシデントがありましたが、甲社社長の「乙社従業員のためにも決めた通りに買収を実行する」という明確な意思によって、当初予定通り9月30日に株式譲渡契約が成立しました。