事例-19
平成22年8月
後継者不在に悩んでいた甲社と事業多角化を検討していた乙社との間で、株式譲渡契約の方式によるM&Aが成立した事例です。
- 被買収企業甲社の後継者問題
ベルト加工業を営む甲社代表取締役A氏の息子は、海外に居住しており“事業を継げない”状況にありました。また、A氏は健康面の不安を抱えているため、従業員への承継も検討しましたが、甲社の諸事情を考慮した結果、M&Aによる譲渡を決意しました。
- 買収企業乙社の多角化戦略
大手企業を主取引先とし鋼構造物工事業等を営む乙社は、複数の後継者候補がいたため、事業の多角化を検討していました。財務状況も良好であり、M&Aによる多角化戦略に積極的に取り組んでいます。当金庫以外のM&A仲介業者等にも相談し、譲渡希望企業を探していました。
- 成約までの道のり
買収企業乙社は異業種企業の買収のために社員2名を配置し、被買収企業甲社の業界動向や将来性を検討させました。甲社工場等の現場視察や、両社の検討事項を話合う場を設けました。こうした過程を経て、約4ヵ月後にM&Aの基本合意に至りました。
基本合意後も、甲社従業員の処遇や甲社を契約者とする保険金の処理について話し合いが継続され、約10ヵ月後に株式譲渡契約の方式によるM&Aの成約に至りました。 - M&A後の甲社と乙社
買収企業である乙社は、甲社に常勤役員を1名派遣し、甲社従業員の雇用を継続することになりました。また、被買収企業甲社の代表者A氏は代表取締役を退任しましたが、当面の間、甲社に残って取引先や仕事の技術面における引継ぎを行うこととなりました。
こうして、M&Aによる経営の多角化を図ることができました。