事例-20

平成22年8月

 社長の高齢化および後継者の不在が原因で、事業承継に悩んだ甲社A社長は、同社の技術・実績等を高く評価する乙社へ株式を譲渡し、経営権を譲りました。

 甲社(製造業)は、高度な技術力と豊富な経験から、同業者間内では一目置かれる存在です。しかし、A社長は80歳を超えており、同社は後継者不在でした。A社長はセミナーや相談会等に参加し、同社の方向性を検討したところ、平成20年3月にM&Aによる譲渡による事業承継を決意しました。
 当初は、甲社の今まで培った高い技術力や業績も相俟って、複数の企業が候補に挙がりました。その後、リーマンショックが及ぼした急激かつ長期にわたる不況もあり、ようやく平成22年1月に乙社を紹介する運びとなりました
乙社の経営陣で甲社の事業内容、業況および経歴を検証したところ、

  1. 乙社C取締役が、甲社の優秀な技術力およびA社長の人柄、カリスマ性並びに業界内での影響力を高く評価している。
  2. 乙社は、甲社が得意とする技術の多くを外注扱いとして他企業へ発注していることから、提携による相乗効果が見込まれる。
  3. 甲社工場の立地条件が良い。
  4. リーマンショックが及ぼした不況から、甲社の業績が回復している。

 以上の事由により、株式譲渡形式で甲社の買収を決定しました。
 その結果、甲社代表取締役に乙社B社長が兼任し、取締役に乙社C取締役が就任しました。また、A社長は甲社取締役会長に就任し、引続き甲社の経営に携わっております。
 本件の成約にあたっては、A社長並びにご家族による多大なご協力により、事業承継問題の解決へと導かれた事例でした。初めてご相談を受けてから2年5ヶ月を経過し、約30回にわたる面談を経て、ようやく当金庫の大切なお客さまの事業承継のお役に立つことができました。