事例-24

平成24年7月

 当金庫の取引先でプラント設備製造業を営んでいるA社(本社:神奈川県)が、同社が保有する電気工事業B社(本社:大阪府)の全株式を、船舶設備製造事業を営むC社(本社:大阪府)に譲渡した事例です。

 当金庫取引先A社は、プラント設備製造業を営む上場企業であり、複数の子会社を抱えるホールディングス会社です。今般、A社がグループ会社の収益改善を図る中で、平成18年に子会社化した電気工事業B社について、他企業へ売却することを決断し、売却できない場合は清算することも視野に入れていました。A社より当金庫にB社の売却について相談があり、当金庫提携先の信金キャピタル(株)と買い手企業を探す運びとなりました。
 買い手候補となる大阪の信用金庫取引先を数社探索したところ、大阪に本店を置くD信用金庫の取引先C社が最終候補に挙がりました。C社は、昨今から続く不況からの打開策として、兼ねてより「自社の事業に応用できる異業種」の企業買収を希望しており、数年前より都市銀行や国の支援機関等に相談していました。
 今般、信金キャピタル(株)を通じて本件をC社に提案したところ、同社の念願であった「海」から「陸」への事業展開ができることで、1つであった事業の柱を2つに増やせる点や、またB社の電気工事のノウハウを造船事業に展開することで受注を拡大できる点を考慮し、前向きに検討することになりました。
 C社社長は、B社の財務状況や事業リスク等の調査のほかに、買収前において、2度のM&Aを経験することで不安を抱えるB社全従業員と例外的に個別面談を行うなど、従業員の心理的な影響に対する調整に大変慎重を期していました。最終的には、C社事業に対するB社従業員の理解や協力を得られ、また譲渡金額面においてもA社の譲歩や協力を得られ、うまく調整がつき、調印式に至りました。
 本件の成約により、当金庫は信金キャピタル(株)とD信用金庫との連携のもと、優良取引先であるA社との信頼関係を更に強固なものにすることができました。