事例-26

平成25年11月

 後継者不在の甲社(製罐・レーザー加工業、年商 1億円超)を、お取扱い品目・事業領域の拡大によるグループ強化を目指す乙社(精密板金・レーザー加工業)が引受けました。

 甲社(製罐、レーザー加工業)は年商 1億円超、従業員10名弱の規模で、技術者の高齢化リスクを抱えつつも大手機械メーカーを主取引先とし、無借金の堅実な業績を維持していました。A社長(70才)は親族に後継者がいないことから、10年程前に自社の将来を託す後継者候補として同業の技術者(当時40才)を採用しました。しかし、同後継者候補から「承継の意思が無い」ことを伝えられたA社長は、顧問税理士の助言を受け、自社の譲渡(M&A)について取引のある金融機関2行(C銀行、当金庫)に相談しました。
 A社長の意向を聴いた当金庫は、買手候補としてグループ内に精密板金・レーザー加工業(乙社)を持ち、かねてより譲渡企業紹介を依頼されていた丙社に対して甲社買収を打診しました。
 丙社は、甲社の財務内容の健全さ、乙社との技術補完・相乗効果の可能性を評価して、積極的に検討することを約束しました。その後の協議は順調に進み、平成25年11月に甲社株主であるA社長および奥様と乙社の間で株式譲渡契約が成立しました。契約後も顧問として1年以上甲社に残ることを要請されたA社長は、事業の円滑な引継ぎと甲社発展の体制整備に引続き協力することを約束しています。
 本件成約の要因は、C銀行に先駆けて当金庫がA社長からの問い合わせに素早く対応できたことにあります。その結果、A社長の「雇用と信用の継続」と丙社・乙社の「グループ強化、事業領域の拡大」という双方のニーズにお応えできました。 A社長は契約調印時の記念写真をお受取りの際に、「一生の宝物にする」とおっしゃってくださり、「関係者全員が笑顔で握手する!」という中小企業M&A本来の姿で成約できた事案でした。