事例-27

平成26年9月

 甲社(業種:防災設備点検・工事、年商 1億円)のA社長持株を、関連大手企業を早期退職して独立を考えているB氏が譲り受けました。後継者不在企業が新たな社長を迎え、事業承継を実現しました。

 甲社(年商1億円、業種:防災設備点検・工事、従業員:5名)は、大手メーカー工場やオフィス、マンション等の防火設備の点検・工事等を営み、実質無借金の堅実な業績を維持していました。しかし、A社長(68才)には親族に後継者が不在なので、創業(平成7年)の頃より従業員C氏を後継者と考えていましたが、C氏の諸事情により事業承継を断念せざるを得ず、A社長は第三者への譲渡を当金庫に相談しました。
 甲社と取引のある当金庫営業店の担当者からA社長の意向を聴いた「ふれあい相談室」では、甲社の事業内容・業績から譲受を希望する企業があると判断し、全営業店に譲渡先候補企業の紹介を要請しました。
 当室では各営業店から紹介を受けた5社と順次交渉を開始し、各交渉先の企業からは「甲社との交渉を前向きに進めたい」旨の意向が寄せられましたが、「C氏による甲社退職希望が原因で、譲受を断念した。(乙社/異業種)」「大手メーカー取引に関する将来性の評価について、甲社との間に相違があった。(丙社/同業)」等、成約には至りませんでした。再度、交渉先を探している最中に、当室ではA社長から「関連大手企業の管理職であったB氏が、早期退職をして独立準備をしている。」との情報を入手しました。「甲社の社長就任、株式取得」についてB氏に打診をしたところ、B氏の承諾を得たことにより、B氏への株式譲渡・代表者変更の手続きを進め、成約に至りました。
 結果的には、A社長自ら提供した情報により、成約に結びついた株式譲渡でしたが、A社長からは「当金庫から紹介された譲渡先候補企業との面談・交渉を通じて、会社を譲るための心得が分かったからこそ、B氏を見つけることができました。事業承継に必要な手続きについても、自分達だけでは出来なかった。」と喜んでいただきました。