事例-32

平成29年6月

 「代表者高齢・後継者不在」の甲社(プレス加工業)が、自社外注先の乙社(金型製造業)に自社株式を100%譲渡しました。

  甲社は、高機能自動プレス機械を積極的に導入し高い生産能力を備えています。間もなく創業60年を迎え、義父から会社を引き継いだ現社長も70歳代半ばとなり後継者も不在であることから、会社清算も頭に置きつつ、自社の設備・従業員・技術を活用してもらえそうな候補相手に社長自ら“自社の引受けを打診”していました。その結果、甲社社長の申し出に興味を示した相手が2社ありましたが、その2社ともが当金庫の取引先でした。
  買手候補2社のそれぞれが、甲社社長の要望について

  • 提示価額の客観的裏づけが不明確。
  • 会社の譲渡(株式譲渡)と個人所有の底地売買が必要で手続きが複雑。
  • 中小零細企業としては負担総額が大きい。
等の理由から、当金庫に対して「提示条件の妥当性評価、手続き支援 等」を依頼しました。
  当金庫は、甲社および買手候補2社と順次協議を進め、最終的に甲社の外注先で若い2代目社長が終始積極的に意欲を示した乙社(金型製造業)が甲社を譲り受けました。2次・3次下請けの金型製造では自社の存続・発展に限界を感じていた乙社社長は、有力メーカーにパイプを持つ甲社の譲り受けにより、グループの成長を実現すべく不退転の決意で望んでいます。
  当金庫は、本件M&Aを通じて、事業承継問題の解決と併せて地域中小企業の成長支援を実現するものです。