事例-33

平成29年8月

 後継者不在の甲社(建設業)が、県外の同業者に自社株式を100%譲渡しました。

  およそ30年前、前社長急逝により甲社の従業員であったA氏が甲社の社長を引き継ぎました。
  甲社は、従業員15名規模で給排水衛生工事を中心に安定した業績を維持していますが、親族内後継者不在および従業員への承継は困難と判断したA社長は、早くからM&Aによる事業承継を意識していました。
  A社長が60歳を迎えた平成23年2月、初めて甲社の譲渡について相談を受けた当金庫は「業種・財務内容からみて買手候補は短期間で現れるので、社長が100%決心を固めてから具体的に動き始める。」ことを推奨。その後2度の情報交換を経た後の平成28年10月、A社長は自社の譲渡を正式に当金庫に要請しました。
  A社長の「公共工事実績を評価してくれるのは神奈川県外の事業者であろう。」との意向を受けた当金庫は、M&A仲介業務提携先と連携して複数の買手候補企業を提示。数社の候補相手と面談の後、A社長は「第一印象から自社を任せられると確信した。」と言う乙社との優先交渉を選択。その後の協議・交渉も順調に進み、株式譲渡契約成約に至りました。
  自社に後継者がいないことを見越した社長が、早くから財務の透明化・株主の整理等を意識していたこと、および金銭条件より会社・従業員の将来を重要視する姿勢が終始ぶれなかったことが本件成功の大きな要因となりました。