事例-4

平成15年2月

売り手は当金庫と永い取り引きのある良好顧客。2つの事業部門を有していたが経営資源を集中させるため調剤薬局2店舗を売却し資金化して、他の事業部門に集中させた。
買い手は一部上場企業の子会社。調剤薬局を他店舗展開させていたが、既に稼働している調剤薬局を買収することで、(1)時間の節約ができた。(2)新規に店舗を開設するよりもリスクが少ない。等の理由で買収を決意。 「ふれあい相談室」で平成15年2月に成約に至った事例をご紹介します。 平成14年9月、当金庫と永い取り引きがあるA社の代表取締役甲氏から経営相談があった。内容は以下の通り。

  1. A社は健康関連部門と調剤薬局2店舗の2つ事業部門を有していた。両事業部門とも事業は盛業であった。しかしながら、調剤薬局部門は免許業種であるところから、店が忙しくなっても社長が手伝うことが出来ない。
  2. 2つの事業部門をマネージメントすると、社長に時間的余裕が無くなる、目が届かなくなる。
  3. 薬剤師を新規に雇用することは中小の調剤薬局では困難が伴う。

以上の理由から、会社を分割したいがどのようにしたらよいか?というものであった。 当室では会社分割をしても社長の精神的負担は変わらないことを説明し、むしろ調剤薬局部門をM&Aの手法の一つである営業譲渡で資金化し、健康関連部門に集中させるほうが得策であることを提案し、甲社長に受け入れられた。買収候補企業2社を当室で選出し交渉を開始した。結果的に一部上場企業の子会社B社が買収するに至った。成約に至るまでには、

  1. 売買価格の決定
  2. 従業員の引継の問題
  3. 行政諸官庁との交渉

以上の3点が大きな問題となった。交渉には4カ月を要したが無事に成約に至った。これによりA社は経営資源を健康関連部門に集中することができ、結果的に甲社長は得意分野の事業に邁進できるようになった。また、B社は11店舗の調剤薬局を経営していたが、このM&Aを機に13店舗に事業を拡大することができた。加えて、B社は現在一番多くのM&Aが行われているといわれている調剤薬局分野で貴重なノウハウを得ることができた。